数々の急峻な山岳地帯を擁するわが国には道路トンネルがおおよそ10000基、鉄道トンネルがおおよそ5000基存在します。
道路橋と同様、道路トンネルも5年に1度の定期点検が義務付けられています。
急峻な峠道を超えての交易は、トンネルにより劇的に速度を増しました。

川端康成の伊豆の踊子の一説を引くまでもなく、トンネルは異なる地点同士をおよそ唐突な形でつなぐ装置としても機能します。
明から暗転、そして明への移動。

さて、ある種ロマンチックな仕掛けとしてのトンネルも、メンテナンスを怠ったとすればコンクリート片や付属施設の落下が生じ、通行者を巻き込む大事故につながりかねません。
また、崩落等により通行ができなくなれば、代替路の無い集落が孤立することになります。

弊社は定期点検や詳細調査という形で危険の芽を未然に摘み取るお手伝いをさせていただき、安全なトンネルが末永く利用されることを強く願っております。

土砂崩れや落石、雪崩が道をふさぐ。通行不能が生じれば人々への多大な影響が生じます。
昨今の大雨や大雪、山林の管理不足等とも相まって多くの事例が報告されています。

アースシェッドやロックシェッド、スノーシェッドはこの問題に対する土木的な回答の一つです。
崩れ得るものの崩壊を未然に防ぐための法面工、崩れたものが道路にまで至らないようにするためのロックキーパー。
それらとは違い、シェッドは崩れてきたとしてもその荷重を支えつつ通行に影響を生じないだけの構造的な強度を持っています。

強固な構造体であれ、劣化や損傷が進行すれば本来期待される強度を失いかねません。
定期的な点検と適切な調査を行いながら皆様を迫りくる危険からお守りすることこそ私たちの使命です。

シェルターは道路とその通行者を何かから遮り守る、建物でいうところの屋根や壁と言えます。
シェルターとして最も知られているものは雪に対するものでスノーシェルターと呼ばれます。
スノーシェッドが積雪に対する構造的な耐力を備える一方、スノーシェッドはあくまでも雪や地吹雪を遮り、道路を外界から隔絶します。
積雪の荷重を受けないため、風雪に耐えることを期待される構造体です。

一部にはパーキングシェルターと呼ばれる吹雪からドライバーを守る目的のものや遮音目的のシェルター構造も見られます。

トンネルやシェッドに比べると構造的には軽い形式を採用しています。
しかしながら部材が多く、添接部・接合部も多いため、点検時に留意すべき点は多様に存在します。
一つの見落としが事故の引き金になりかねないとの自戒を胸に、今日も点検作業に邁進しています。