株式会社ジャパンテクノロジー

03-6869-6026 / 平日 9:00~17:30 ※年末年始を除く

メール
無料見積・相談

事例紹介CASE STUDY

橋梁の塗膜調査

橋梁詳細調査投稿日:2020年11月14日

橋梁の塗膜試料採取の事例をご紹介いたします。
 
1960年代後期、食品に混入したことで大きな健康被害を引き起こし社会問題化したPCB。
体内に許容量を超えて蓄積することで健康上さまざまな悪影響をもたらす鉛。
 
それぞれの素材は生物にとっては有害物質と認識されるようになりましたが、その化学的性質が防錆機能や絶縁性能、耐候性能に優れていたために広く社会に普及しました。
 
その後人体や環境への影響により使用が制限されるに至りましたが、その化学的性質を応用し開発された塗料が私たちの点検する橋梁等に使用されていた時期があります。
 
さて、鋼材も腐食さえしなければメンテナンスフリーの永久構造を構成し得るのかもしれませんが、今のところそこまで都合の良い技術は生まれていません。
現実の橋やシェッドなどの土木構造物においては、鋼材を腐食から守る防食塗装とその更新を続けることで半永久的な維持を実現しています。
(ここでは耐候性鋼材は除きます)
 
適切な塗膜の維持管理によって構造物の健全性が保たれるわけですが、当該構造物の塗料に先の有害物質が含まれている場合、塗装の塗り替え、はたまた社会的な需要の変化による橋梁の撤去、架け替え、更新には大きなハードルとなります。
 
なぜならこれらの有害物質の取り扱いについてはPCB特別措置法や鉛中毒予防規則等により厳格に定められており、作業者および周辺環境への影響を抑えるための対策や、排出される廃棄物の保管・処理についても高度な対応を求められるからです。また、PCBは指定された期間内に処分することが義務付けられており、維持管理上の大きな障害ともなり得ます。
 
このような背景から弊社でも多くのお客様より塗膜調査のご相談をいただいております。
 
以下、実際の作業の状況を簡単にご説明いたします。
 
 
 
有害物質の含有試験のための試料を採取します。
鋼材を腐食から守る、防食塗膜を部分的に剥がし取り試料とします。
まず、既存塗膜の膜厚を計測します。これは復旧の際の塗料塗布厚の参考値となります。
 

 
いよいよ塗膜を剥がしていきます。 
弊社では超音波振動剥離機(ソノスプリッター SS-270)を採用し、粉塵の発生が少ない工法を用いております。
グラインダーによる剥離作業に比べて粉塵対策養生はシンプルに抑えることができ、無駄な廃棄物を生じません。
また、試料に混入する夾雑物をごくわずかに抑えることができます。なぜなら、超音波振動により塗膜を浮き上がらせるようにして剥離することから母材を削りいためることが無いためです。
このような剥離メカニズムであることから、通常の腕力をもってスクレーパーで剥がすこととは異なり、安全かつスムーズでスピーディーな剥離作業が可能です。
有害物質を含む可能性があるため、養生は徹底して行います。
作業員の防護も厳重です。
また、養生内は高温多湿条件になりやすいため、集塵機と換気口を設け、連続作業は行わないことを徹底しております。
 

 
無事試料採取を完了しました。
 

 
試験の方法に応じて必要量を採取します。
含有量試験と溶出量試験を共に行うとして、一箇所あたりおよそ1㎡、100g程度が採取目安です。
 

 
試料採取後の塗膜復旧は、美観や今後期待される防食性能に応じて適切な塗料を用います。
 

 
復旧用塗料の塗布厚をウエットゲージで記録します。
塗膜硬化による収縮を念頭に、既存膜厚を超えていることを確認します。
  
一般的に、1試料の場合、試料採取から試験報告書の納品までに、およそ2週間程度のお時間をいただいております。
各案件の条件に応じて状況が変わりますので詳細はぜひお気軽にご相談ください。
 
弊社では超音波振動剥離機を保有しており、多数の案件に関わっております。
今回は乾式工法でしたが剥離剤を使用した湿式工法にも対応しております。